新鮮だった沿海州へのトランジット
今年4月30日からの「ロシア8日間の旅」は、道日ロ協会がかねてから実施してきたロシアの旅の中でも、最も豊富で充実した内容だったのではないか。
ウラジオストック無駄な日程やロスが殆ど無く、いわゆる「見どころ」については逃さず堪能できた、そんな幸福感を感じられたツアーだったのではないか。そのような満足感は参加された多くの皆さんの感想からも伺われました。
例年は新千歳⇒成田⇒モスクワのコースですが、今年は始めて新千歳⇒関空⇒ウラジオストック(写真)⇒モスクワとしました。主に旅費の節減のためにそうしたのですが、ウラジオに1泊、その上、短時間とはいえ観光を入れ込むことができたので参加の皆さんは独特の沿海州の雰囲気を新鮮に感じたことと思います。
クレムリンでは「武器庫」の素晴らしさに圧倒される
モスクワの修道院モスクワではクレムリン、赤の広場、聖ワシーリー寺院、アルバート通りなどのいわゆる「主要スポット」を巡りましたが、中でもクレムリンの「武器庫」はその名前とは大きく異なり、歴代の皇帝が収集した王冠、宝石、衣服、武器、武具、調度品の数々がまるでロシアの歴史そのものを見せるかのように陳列されておいて圧巻でした。(写真はモスクワの修道院)
中世の町並みそのものだったセルギェフ・パッサート
セルギェフ・パッサート住宅翌日、訪れたセルギェフ・パッサートは、いわゆるモスクワ北東部の「黄金の環」の一部でロシア正教の聖地。その日は晴天、この地方は空気も澄んでおりその静寂さは行きかう車がなければまさに中世そのもの、不思議な魅力をたたえる街でした。
そしてサンクトペテルブルグ。空港から出るなり美しい街だということを直感しました。ペテルブルグには3泊しましたが、せめてあと1日だけでも居たいと思ったのは僕だけではないと思います。
宮殿、美術館、教会の美しさ。忘れられないサンクトの輝き
ピョートル宮殿ピョートル宮殿、ネヴァ川クルーズ、エルミタージュ美術館、エカテリーナ宮殿、アレクサンドルネフスキー修道院、「薔薇の学校」と称される第83番学校も訪問し日本語を学んでいる生徒たちの大歓迎を受け全員感激しました。
ピョートル大帝の夏の離宮は、ギリシャ神話のサムソンを中央に置いた大噴水の彼方にはフィンランド湾が望まれるなど本当に美しい宮殿。エカテリーナ宮殿は華麗な宮殿で天井画が見事でした。有名な琥珀の間は03年に復元されたものでこれを見た人はまだ、少数だと思うと感慨もひとしお。
エルミタージュ美術館前個人的に最も楽しみにしていたのはエルミタージュ美術館。しかし、1時間30分の時間は少なく、次々と世界的な名作の前を案内されたものの一つの作品をじっくり鑑賞する余裕はなく、後日、記憶にある作品は実際に自分が見たものなのか、あるいはかつて美術誌や写真で見たものなのか、分からなくなっているのは悔しい思いでした。
明るく落ち着きを見せていたロシア。充実した8日間の旅、皆さん、ごくろうさま。
手作りしたマトリョーシカ充実した8日間、一人の参加者は「ロシアは何かしらほの暗い国ですべてが混乱しているとの印象があったが、それは全く違っていた。明るく落ち着いている。このようなツアーはこれからも続けてほしい」と語っていました。
参加者が13名にとどまったことは残念ですが、病気、けが人も出ず全員元気で帰国できたのは何よりのことでした。参加された皆さん、ご苦労さまでした。
今後、この催しをどのように継続していくのか、当協会の大きな課題です。会員の皆さんの声をお寄せください。
戸田 利正 ロシアの旅団長 (北海道日本ロシア協会常勤理事)